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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第5章 仮初め



「……龍青」



しばらくして美和が小さく彼の名前を呼ぶ



「ん?」



答えて向き直った瞬間、美和は龍青を抱き締めた

強くというわけではなく、恥ずかしそうに少し控えめに−−−



「好き…だよ……」



微かに聞こえたその言葉に龍青は体を固くした

心臓の鼓動が早まり、龍青の耳を打つ



「美和……」



龍青は震える手で美和の体を包んで返した

自然、二人は見つめ合ってその顔を傾ける

ゆっくりと、そっと唇が重なった−−−

甘くてしょっぱいキス−−−

初めてのキスだった







凪は唇を離し、悠の腕を解放した

掴まれた腕を引き寄せられてキスされた−−−

悠は突然の出来事に茫然と立ち尽くす



“キス、された……”

キス−−−



「……!!」



徐々に現実感が沸き、それを表すように悠の顔がだんだん赤く染まってゆく



「ありが、と……」



何故だかお礼を言ってしまう

そんな彼女を見て凪は僅かに笑みを浮かべた



“笑った……初めてかも……”



悠もつられて微笑む

彼が心の中で何を思ったかは知らずに−−−



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