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水流金魚
第2章 金魚の移り気
「もしもし」

「もしもし。お姉さん何歳?」

「……34」

「そっかぁ。俺、お姉さんよりめっちゃ年下やけどいい?」

「……何歳?」

「……22」

 お互い年齢を遠慮がちに言って、それが面白くて大爆笑した。

「学生さん?」

「いや、社会人。夜勤やから昼間、暇なんよね」

「へぇ~。なんのお仕事?」

「警備とかコンビニとかフリーターかな。朝、弱くて」

 その後も何時間も他愛のない話をした。通話アプリは電波が悪くて切れやすいので、直接電話番号を公開した。

 咲斗(サキト)くん。咲ちゃんと呼ぶことにして、登録した。

 咲ちゃんには彼女が居て、ただの友達で終わるはず。そう思っていたのに――。


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