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第9章 Lovely　Moon

　

　重ねていた手は指を絡ませて強く握りあい、朱羽は抽送を早めながらあたしの耳を愛撫してきた後、あたしの唇をせがんだ。

　舌が絡み合うと、朱羽が深く突いてきて、キスが思うように出来ない。

「朱羽、深いっ、奥に届いてるっ」

「はは……、すごいね、こんなに気持ちいいなんて……」

　朱羽の匂いに包まれながら、朱羽の声と熱の中で至高の快楽を享受するあたしは、愛おしい男の身体に酔い痴れ、絶頂に駆け上った。

　幸せでたまらない。

　気持ちがいい中で、ふたりで溶け合えるのが。

「陽菜がっ、すごく俺を、愛して……くれてる……それだけで俺、はあっはっ……陽菜、俺やばい」

　余裕なさそうな声が聞こえてくる。

「陽菜のイク顔見てイキたい。陽菜……っ」

　朱羽は繋げたまま、あたしの片足を上げると、あたしの身体を回す。正常位のような向き合う形になると、あたしを擦り上げる朱羽の角度も変わる。

　朱羽はあたしを台に押さえつけると、あたしの足を持ち上げたままあたしをぎゅっと抱きしめながら、腰を打ち付ける。

　粘膜が擦れ合う音が、いやらしく響く。

　互いの気持ちよさを訴える声が悩ましく合奏する。

　朱羽が苦しげな顔をしながら、抽送を早くした。

　お互い切ない顔を合わせてキスをしながら、荒い息で互いの絶頂の瞬間を推し量っていると、あたしがシャツの下の朱羽の背中に滑らせたあたしの指先が、絶頂の予感に朱羽の盛り上がった肩甲骨の肌に爪たてた。

　打ち付ける朱羽も変化が見られる。

「陽菜が……愛おしくて仕方がない」

　汗を垂らしながら見下ろす朱羽は、苦しげに目を細めながら言う。

「俺は陽菜だけ見つめてる。この先なにがあろうとも」

「嬉しい、朱羽……ああああっ　朱羽、朱羽っ」

「……くっ、陽菜――っ」


　そしてあたし達は、互いの名前を大声で呼び合いながら、ぎゅっと抱きしめあい、同時に果てて崩れ落ちた。


「I love you more than words can say. No matter what happens, I will always be with you.
　(言葉にならないくらい愛してる。何が起きようとも、ずっと一緒だ)」

　どこかで流暢な英語が聞こえた気がした。