この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第9章 Lovely Moon


「三上……」


 社長が弱々しく病床から呼んだ。

 社長の発声が弱くても、ちゃんとあたし達の声は聞こえる。

 杏奈が社長のベッドの脇に立つ。

 社長が上げた手で、専務がなにをしようとしていたのか気づいたようだ。

「三上、屈め」

「え?」

「いいから」

 膝立ちをした杏奈の頭に、社長の手が置かれる。


「負けるな」

 病気と必死に闘っている社長の言葉に、

「復縁するのもしないのも、お前の未来だ。……このままの状況が辛いのは、お前だろう? 今度は逃げずに、自分の気持ちと戦え」

「しゃ、ちょ……っ」

 杏奈は社長に縋るようにして泣いた。





 杏奈があの奇抜な格好をするようになったのは、向島に見つからないようにというのと共に、本当に杏奈の趣味でもあったらしい。

 社長に"飼育"されて育った彼女は、『玩具人形』というタイトルの、パソコンで見たロリータ系のネット小説に影響を受けたそうで、 あの格好をしている時向島のことを忘れていられたそうだ。

 専務の声が響く。

「俺は単純に、三上を向島の父親の手から守るつもりだった。向島から、惚れた女がいて父親の手に戻らないか心配だと、酒の席で聞いていたから、三年前の向島の変貌に驚いた俺は、事態を察知して調べ上げて三上を庇護した。それはあいつからではなく、あいつの父親からのつもりで」

「渉さんは、向島専務にそのことを話したんですか?」

 朱羽の声に、専務は薄く笑う。

「俺が話した時、もうあいつは三上がいなくなったことで、おかしくなっていてな。幾ら保護をしたと言っても、俺が三上に惚れたから奪ったのだと邪推した。幾ら沙紀がいると言っても、信じなかった。だから俺は、あいつがまともに話せるようになるまで、とりあえずは三上を忍月所有のマンションに入れた」

「だけど……宗司が調べて押しかけてきて、窓硝子を破って中に入ろうとしたり、ドアをがんがんと長い時間蹴り飛ばしたり」

 杏奈が弱々しく語る。
 
/1291ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ