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いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
 


「朱羽……あたしも助けて……」

 あたしは唇を朱羽の首に這わせる。


「好きで……苦しいの……」


 露わな肌を舌で舐める。

「陽、菜……」

 掠れた声を出した朱羽が、その手をあたしのカーディガンの下に入れて脱がせるから、あたしも朱羽の服を脱がしていく。

 互いに袖を外すことに抗うことはなく、繋がりたいと自ら服を脱ぐ。


 好き。


 好きだからひとつになりたいと、互いの目と動きでそれを示しているのに、それを口にするのがなぜか怖い。

 先週あんなに繋がったのに、あんなに溶け合ったのに、そこまでの大胆さを失ったように羞恥に勇気が出ない。

 朱羽の瞳が、星の瞬きのように揺れている。

「この距離が、もどかしいよ……」

 あたしは朱羽の唇を舐めて、唇を割って舌を入れた。

 そしてあたしは朱羽のワイン色のカットソーの下に手を入れて、直接朱羽の熱い肌をなで回すと、朱羽はぶるりと身震いした。

 視線は絡まったまま。

 すぐにでもキスをしたくなるようなとろりとした目をしながら、朱羽はため息をつくと、間を跨いであたしの上にやって来た。

 あたしの足の間に割って入り、膝立ちした状態であたしを見下ろす。

「俺、止らないよ?」

 既にその顔は、艶めいたオスの顔で。

 あたしに欲情してくれたのだと思ったら、ぞくぞくと興奮した。

「……うん」

「こんなところでいいの?」

「ここでいい」

「あなたの家にくる途中で買ったから、ゴムは持ってる。俺のストッパー、ないよ?」

「ストッパーなんていらない。……抱いて?」

「……っ」

 ようやく口に出したおねだりはか細く震えた。朱羽は無言で眼鏡を外し、両手でワイン色のセーターを一気に頭から脱いだ。

 星と月明かりに朱羽の逞しい上半身が、青白く浮かび上がる。

 媚香のような匂いを漂わせ、男の妖艶さを強めた朱羽は、欲情した眼差しであたしを食らおうと艶笑した。

 その扇情的な光景に、あたしはただの……魅入られたメスだった。

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