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いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
  
 沢山の星が見える綺麗な夜景の中で、朱羽に抱かれているこの悦びに打ち震えながら、空の果てに向かってあたしは手を伸ばす。

 今なら、朱羽に抱かれて朱羽に愛されている今なら、星を掴めそうな気がして。

 だけど伸ばした手は朱羽に指を絡められて握られる。

「俺は、ここにいるだろう?」

 彼が滴らせる雫は、夜空の光に煌めき、星の輝きとなる。

「うん。うん……あたしだけの星の王子様」

 どうかお願い、あたしにその輝きを見せ続けていて欲しい。

 永遠にあたしの傍で瞬いて欲しい。

「……俺だけの、星のお姫様だよ。陽菜、星を纏って……本当に綺麗だ」

 朱羽に眩しそうに見つめられて、あたしも星になれる?

 朱羽だけに光っていられる?

 上下に揺れるあたしの身体。

 下から打ち込まれる彼が、あたしの身体に火花を散らす。

 いつしか指を絡めて握り合ったのは両手となり、より強く繋ぎ合いながら、あたし達は煌めく星になる。

「陽菜っ」

 朱羽に呼ばれてあたしは朱羽を見下ろし、朱羽も一緒においでと口づけを交わす。

 あたしの足が朱羽の腰を締め付ける。
 
 朱羽の動きが激しくなり、あたしも自分で腰を振り、結合場所が熱くて蕩けていきそうだ。

 朱羽の香りが汗と入り交じり、淫らな匂いになっている。

 朱羽に触りたい。
 朱羽と溶け合いたい。

「朱羽……好き、好きっ」

 愛おしすぎて泣けてくる。

 なんでここまで朱羽が好きなんだろう。

「あたしを……離さないでっ」

 朱羽に向けた悲痛な叫びは、朱羽の唇で塞がれた。

「――…一生、離さない。陽菜が俺を離したくても、俺が離さないっ」


 朱羽がさらに猛る。

 あたしは夜空に向かって嬌声を上げた。


 好き。

 好き。

 身体の快楽に負けないほど、あたしは朱羽が好き。

 好きだからこんなに気持ちがいいの。

 好きだから――。


 ねぇ、朱羽も気持ちがいい?

 気持ちがいいほど、あたしを好きでいてくれている?

 あたしの好きが、どうか朱羽に届きますよう――。


 やがて見えてくる果て。


「あああああっ、朱羽、朱羽っ」

「陽菜、陽菜――っ」


 夜の帳が下りた星空の元、あたし達も同時に弾けて星となった。 
 

 
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