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壊してほしい
第1章 拾った女の子
『ん?なに?』

氷月は束ねていた髪の毛をほどく。
首が寒かったのだ。
無造作に伸ばした茶色い髪がバサリと首にかかる。

カフェの入り口ドアから2メートルほど飛び石が続く。
その向こう側に道路があった。


氷月は寒い寒いと連呼しつつ音がした道路に出た。
『―――あっ?!
ちょっと、大丈夫??』


女の子がうつ伏せに倒れていた。


中学生だろうか?
白いセーラー服に、
紺のスカート。
膝下までのソックスにローファー。


氷月は慌てて女の子を抱え起こした。


街灯が女の子の顔を照らす。

小さな白い顔。
気を失っているようだ。
肩までの黒髪。

『え〜っと……
誰かー……っていないよな』
抱えてキョロキョロしたが、
街の外れにある寂れたカフェの近隣には人影がない。

夜になると人通りは0になる地域。


氷月は『ねぇ、ちょっと大丈夫?』と女の子の頬を軽く擦った。

どうしよう?
救急車を呼ばないと……


すると、
女の子が薄目を開けた。

そして『………かないで……』と小さな声で囁く。


『え、何て?』
聞き取れなかった氷月は訊ね返す。

が、女の子は返事をする代わりに氷月の調理服を握りしめ再び瞳を閉じた……………………………………………………

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