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ホントの唄(仮題)
第9章 対峙して、知るもの

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「――と、まあ……簡単に話せば、そんな感じになりますが」


 駅よりほど近いファミレス。予定通り到着した彼女を連れ立ち、その奇妙な面会は開始された。挨拶もそこそこに最初に俺が訊かせたのは、真との出会った経緯である。


「そうでしたか。ともかく――ふらのが大変、お世話になりまして」


 と、頭を垂れられる。

 パリッとした濃紺のスーツ姿。如何にも仕事ができそうな女性といった風貌。渡された名刺で知り得た名は、上野佐和子(うえの さわこ)。

 見た処の年齢では、たぶん、俺より幾分は若い。派手すぎないメークに彩られた顔は、少しやつしてはいても美人であることには変わりないようだ。

 真を盾に取る様でイメージが悪いから、俺の口から「一人で来るように」と指示することは控えている。屈強そうな男でも従えて来られたら、などと想像して少しビビってもいたのであるが。

 彼女が単身で此処に来たことには、俺に対する一定の信頼が見て取れた。もちろん表情に緊張は滲ませてはいるが、少なくとも誘拐犯の類だと疑われている訳ではないらしい。

 ともかく、この上野さんは、真の所属事務所の代表であり。

 俺の知り得る限り、それは同時に――真の義母でもあるのだ。

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