この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ホントの唄(仮題)
第11章 縋り付き、頼む

 勝手に、決めんなよ! そう思いながら、なのに――。

 他に何をしようと俺自身が、強く希望を思い描いていた訳でもなくて……。

 大学での生活も三年目から四年目と、周囲は慌ただしくなってゆくのにも拘らず。就職活動もせずに何となく過ぎる日々を見送っていた俺は、恐らく――ひねくれた心のはそのままに、結局は親父の思い通りになろうとしていたのだろう。

 当時の俺の反骨精神など、その程度のものに過ぎなかった。だが――



「病気の彼女の弱々しい姿を前にした時、だった。俺は……初めて親父に抗う理由を、見つけていたのかもしれない」


「じゃあ……?」


「俺は彼女のことを、その傍らで支えるようと決意し。地元には戻ることなく、そのまま彼女の居る東京での就職を希望した」


「その時に、お父さんと喧嘩を……?」


「ああ……派手にやり合ったよ。結果、親子の縁を切ると啖呵を切って、家を後にすると――そのまま、今日まで至っている」


 俺は口元に自嘲気味な笑みを浮かべ、そう話した。

 すると、真は暫く黙り。それから、その話の流れ上、最も気になる部分への興味を向けた。


「それで……その彼女、とは……?」


 遠慮気味に訊ねた眼差しに、俺はあっさりと――こう答えた。


「別れたよ」


「えっと……それは、手術が上手く……いかなくって?」


 更に気を遣ったような言葉に、少し申し訳なく思い、俺は――


「いや、手術は成功していた」


 と、その顛末を語ろうとした。
/400ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ