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第13章 別れは劇的ならずとも

「なにソレ？　意味、わかんないよ」


「ハハ、そうか？」


「それに、カッコつけた気でいるみたいだけど、全然カッコよくないし」


　と、不機嫌を装い、憎まれ口をきいてみても。


「ハハ、うるせーよ」


　真だって本当は、わかってる筈だ。

　ここで肉欲に溺れることは、俺たちの関係に微妙なケチをつけることに。漠然とした想いではあるものの、それを後に悔いることを俺はしたくはなかった。


　はあ……。


　真は最後に、そうやって深いため息を吐く。そして――


「もう……わかったから」


「ん……？」


「そんなに邪険にするなら、出てってあげる」


「真……」


　それは、わかりきっていた別れであり、俺には覚悟があった筈――。

　が、そう切りだされた時、一気に去来する寂しさに、俺の心は無防備だったのかもしれない。