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淫風の戦記
第1章 茂里水軍の逆襲
香羅は久しぶりの緊張感を味わっていた。父を殺めた茂里水軍との戦は、この半年で大小四回。すべて香羅の奇策があたり勝利した。特に前の戦は完勝。宇輪水軍の損害は無に等しく、茂里水軍を退散させた。

「(今回は上手くいくのか?)」

本隊を率いる香羅はわずかな胸騒ぎを連戦連勝の自信で抑え込んでいる。半数の港を失えば、今までは小娘と舐めていた敵も危機感を持つだろう。それに、この峰島は港と断崖が複雑に混ざり合った要塞島。
霧に乗じて本隊が港を奇襲-内通者が島内で放火-別動小隊が隠密裏に断崖を登り攻め込む。三点同時攻撃が今回の作戦だった。

「やるぞ…」

別動小隊を率いる枇杷と約束した時刻だ。
香羅の言葉に操舵手が頷いた。舵が切られ船首の向きが変わる。
それを合図に漕ぎ手は反復動作を速める。加速する香羅の船と並走する三隻。狙いすました方向に一直線に進む。
…瞬間、宇輪水軍の四隻の戦船は、舳先に取り付けた鋼の牙で停泊中の敵船横腹に噛み付く。衝撃音は噛まれた二隻の敵船が大破したことを確信させた。

「かかれ!」

香羅の号令に、声を潜めていた宇輪水軍の男たちが吼える。船上から港に向かって一斉に火矢を放ち、先頭で斬り込む精鋭十人が港に上陸する。弓兵のニ十人、漕ぎ手の二十人も、弓と櫂を矛に持ち替えて続く。敵兵も慌てて港に飛び出してくる。乱戦となった。

「(押している…)」

香羅の船には操舵手と航海士、最低限船を動かせるだけの漕ぎ手十人ほどが残り、内通者が火を放つのを待つ。霧は少し薄らいだか。しかし火の手は上がらない。

「まだか…(まさか?いや、そんなはずはない)」

仮に内通者に迷いが生まれたとしても、港の乱戦がこちらに有利となればやはり火を放つ。言い聞かせ、焦りを打ち消す香羅。じりじりとした時が過ぎる。

突如、風を切る矢羽が香羅の耳元をかすめる。
至近距離から放たれた数本の矢が、甲板で戦況を見守っていた香羅の部下を貫く。甲板の男たちは声もなく倒れた。操舵手の若者だけが身を翻し、心臓を貫く予定だった矢尻を腰に受けた。致命傷は避けたものの、立つことはできない。

「蛟姫ですな?」

声の主は重厚な鎧をまとった男だった。

「何者か?茂里の者ではないな」
「いかにも、私はこれから半島を統べる国『斗真』(とうま)の将、戊辰(ぼしん)」
「その斗真の戊辰将軍がなぜ宇和の衆を殺す?」
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