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薔薇が燃える
第1章 今夜は雨になるだろう


「嫌?」



と、志水が訊いた。



志水の、微熱を帯びた吐息のせいばかりではなかったが、奈保子は不意に暑いな……と、感じた。額や胸の谷間に、汗が滲みはじめていた。




「まだ、嫌よ……ゆっくりベッドの上で、愛されたいもの……」



と、奈保子は答えた。




男の剛毛な草むらから、重たげに頭を揺らした肉棒が、いつのまにか奈保子の脳裏を占めて、奈保子は一瞬、意識が遠くなるのを感じた。




「夜には、もっと、たっぷり時間をかけて可愛がってあげる……これは、ほんの前戯だからね。一回、逝ってもいいよ?」




志水の声が、なぜか遠くからの声に聞こえた。志水は、いつも簡単には射精しない。




大き過ぎて鈍いのか、一回の逢瀬で、二度も絶頂を味わわされると、奈保子はそれから一、二時間は、死んだように眠ってしまう。




しかし今の今、奈保子は、どうされてもいいような気がしていた。




好きにして……。




奈保子は半開きの唇で、声にならない言葉を発した。



志水は、今にも崩折れそうな奈保子の、たよりない腰を支えるように掴むと、奈保子の腰を、自分の下腹部に引き寄せた。




奈保子は一層深く前屈みになる。ベルトのバックルを外す音が聞こえた。




志水は紺の、ラフなシャツに、腿から膝にかけて、白い流水と、赤というよりワインの薔薇の刺繍の入ったブルーのジーパン。奈保子と逢う時の彼は、いつもたいてい、そんな格好だった。ベルトには、ゴールドが錆びついたような色のバックルが付いていた。




もちろんスーツの時もあるが、奈保子はどちらかというと、サラリーマン風の彼よりも、不良オヤジめいたジーパン姿の彼のほうに魅力を感じていた。




その後、志水は両手を使って奈保子のスカートの裾を、お尻の上まで、たくし上げると、丸いお尻から、ひと皮剥くように、パンティを引き摺り下ろした。愛液で蒸れた肉襞が剥き出しになると、奈保子は嫌らしく求めるように、お尻を突き出した。




次の瞬間、肉棒の先端が、割れ目の中芯に付着した。



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