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淫徳のスゝメ
第3章 私が最も華やいだ頃のこと


「ね、どうかしら。まづるさんがそれだけ可愛がっているお嬢さんに初めて挿れるものが既製の玩具だなんて、この子は生涯恥をかくわ。初めての相手が玩具だなんて、ね?お兄様は屋敷にいらっしゃるはず。ちょうど今、お父様は仕事中だもの」

「姫猫さん。男の肉体は傲慢の具現、貴女もそう言ってるじゃない。彼らの生殖器は恥ずべき歴史の副産物、事実人間を貫けるくらい鋭いでしょう。攻撃、征服、論議を伴わない武力行使を意味しているんだ。女が思考に長けたように、男は肉体が発達している。閨房に男を招いたら、この世の悪徳を肯定すること。思考に劣った彼らは知恵をを放棄して、狼藉する。ところで、女は自ら膣口を潤して結合を補翼するのに、男は欲望を溜めて満足がいったあとに吐き出すよね。男の相手が女の場合、生命という征服の刻印が植えつけられることもある。男は、男とでも交わっていれば良いわ。女とは同じ言葉を話している振りをしているだけで、ただの下等な生き物だもの。豚と豚が交わるように、相異なる性は甄別されるべきなんだ。姫猫さんは、世界のどこもが何故こうも腐敗したか考えてみたことはある?政や文明を動かしてきたのは男でしょう。彼らはプライドだけを振るい上げて、考えなしで動いてきた。無意味な法をその時代、その土地ごとに書き換えて、支配下にある人間を桎梏しては戦を起こして、破壊を続けた。過失を上塗りするために、また過失する。私達には関係のないことと、一概に一笑に伏せないわ。直美やふみ子のように底辺の人間が湧いて出るのも、そもそもは男達の単純思考が、経済の計算を綿密に出来なかったしわ寄せだと思わない?」

「貴女の心配することはないわ。お兄様の肉体は、確かに脇差しを備えているけれども、哲学はあるもの。お兄様は、私をここまで育ててくれたお父様の遺伝子を受け継いでいる。法や偏見、独善的なモラルに関してはもう随分と以前から軽蔑されているし、何より私達とはお話が合うと思うのよ。お兄様の夢は、気に入った複数の女、男、トランスジェンダーと、同時に婚姻関係を結ぶこと。断っておくわ、それはお兄様が、人間の過剰評価する婚姻制度に感極まってのことではない。逆よ。法律、信仰、及び婚姻制度が軽薄で、愚かで、幼児のままごとにも至らないことか、実証されるためなの」
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