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淫徳のスゝメ
第3章 私が最も華やいだ頃のこと

* * * * * * *

 午後になると、さっきまで閑静だった森林が、自家用車で賑わい出した。

 華やかにめかしこんだ令嬢達が、豪壮な施設の近辺を蝶のように遊び、やがて階下から浮かれた談笑が昇ってくる。



 私は、まづるさんとキスを楽しんでいた。

 唇と唇の接触が、どこまで自律神経を翻弄するか。腕と腕を絡めて、艶やかな薄皮を通してまづるさんの口舌を閉ざした血肉に触れる。それだけで、私はあまりにあっけなく、お父様や有本さんに下半身をいじられる程度には甘い痺れに引きずり込まれる。窓の様子を瞥見しながら、私は私の唇を割る肉厚の生き物を迎え入れて、まづるさんの味をしゃぶる。

 キスは、キスにとどまらなくなった。

 私は全開のカーテンに背中を預けて、パステルピンクのブラウスを脱いだ。森林にいるメンバーらから、私達が見えているかは分かりかねる。それでも、真昼の光にしどけないところを暴かれている状況は、私達を確実に盛り上げた。





 みゆきさんに知らせられていた時間になると、私達は荷物を置いた部屋を出て、エントランスの広場に降りた。

 舞踏会の会場ほどある正面入り口のエントランスは、ざっと二百人ほどの少女らが揃っていた。



 ここからが、社交クラブの合宿だ。



 みゆきさんの挨拶に続き、副会長の河峰久美子さん、企画役員の本田藤子さんと橋本優香さんが各々式辞を述べていった。
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