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淫徳のスゝメ
第3章 私が最も華やいだ頃のこと


 メイド達がギャラリー脇の扉を開けた。

 中にはガラスが巡らせてあり、今しがた上級生の話した通りの設備が収納してあった。


 馬のオブジェが、ひときわ異様な存在感を放っていた。突起と振動装置を除く全てが無色透明で出来た馬だ。


 まづるさんがガラスのそれに跨ると、久美子さんが彼女の腕を背中に組ませて長いロープをかけていった。


 ヴィィイイィィィィン…………


「っっ……」


 ガクンッッ…………


 まづるさんの下半身が、にわかに弾んだ。

 だが、久美子さんはまづるさんの腕を胴体に羈束して、アンダーバストにロープを通して吊り上げている。おまけに膣内から固定された肉体は、いくらたわんでもずり落ちない。


 久美子さんは、続いてまづるさんの乳首をクリップに挟んだ。ぶら下がるのはローターだ。二の腕、内股にも、コードに繋がれた心電図テープのようなものが貼られていった。



 ガラス戸が閉まった。


 ヴィィィィン……ヴィン……ヴィヴィヴィィィィィィィン…………



 馬から立つ振動音は、人間が操作しているように不規則だ。


 ガラスにくぐもる不協和音に混じって、微かな嬌音もこぼれていた。



 バチッ……バチバチッッ…………


「あああっっ」


 弾けるような夾雑音がまづるさんを戦慄させるや、ギャラリーの興奮に拍車がかかった。


 電気ショックだ。

 一定の頻度で起きる電流が、過度の快楽で正鵠が失神しても、執行人の手を煩わせることなく強制的に覚醒させる。

 ギャラリーを湧き立つささめきから分かったことだ。
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