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淫徳のスゝメ
第4章 私が天涯孤独になったこと


「やめてくれ……!!っ、お前達……こんなことしてタダで済まされると思うな!おおお…………可愛い姫猫ぃ……お父様を助けてくれ……遊、お前は破門だ!今すぐ仏野の家を出て行け!私を……ぐぐっっ、私を何だと思っている!!仏野財閥のトッ──…ぐわぁあああああああっっ…………」


「人殺しのくせに、まだ元気だ。遊さん、鉄板を」

「オーケー」


 お兄様が内線をかけると、数分のち、メイドの一人が現れた。お兄様のお気に入りのメイドが握っていたのは、卵焼き用のフライパン。仄かな油の匂いがした。


「やめてくれ……お願いします…………お願いします……。お願い、申し…………上げ、ますぅ…………金ならやる!!お前達の殺人も、私の力で隠蔽してやる!!会社の一つや二つくらい、くれてやる!!やめてくれっ、だから、ペニスだけは……っ、ペニスだけはだずげでぐれ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇっっっ…………」


 お父様は泣き濡れて、まづるとお兄様に媚びた。

 お兄様はメイドに五センチほどの厚みの紙幣を握らせて、彼女からフライパンを受け取った。百度以上と思しきそれは、可憐な執行人に行き渡る。


 じゅっ……………


「ぐわ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っっ」



「えっぐー」

「違うわ。不良品のウインナー。もっとも私は、ウインナーなんて焼かせないけど」

「食わねぇもん焼くなよ、ふりふり」

 お父様の亀頭は、今度こそ真っ黒に焦げていた。染みた油が表面で極小の泡を立てて、なるほど、確かに焼きたてのウインナーだ。


「ぐすっ……ひくっ、おおおおおおお…………」


「まだ泣くのは早いよ、仏野さん」


 まづるがお父様の陰毛を引きちぎりながら、はかなしごとでもしている調子で話し始めた。
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