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淫徳のスゝメ
第5章 私の暗黒時代のこと







 三日が経った。


 小野寺家の食卓は、相変わらず荼毘に付してでもいるようだった。

 私と律子は早々に食事を切り上げて、なおざりに入浴を済ませた。



 長い一日を終えたあと、律子が私に求めることは一つだ。


 短期大学卒業後、美術館に就職、それから瞬く間に出世して、多くの年配の職員達を采配してきた。年端より大人びた律子も、キスの合間に覗き見る顔はあどけなさも残っていて、よく動く表情はともすれば私の知るどんな少女達より活発だ。


 彼女も、同い年の少女なのだ。


 律子は濃密なキスのあと、恒例化した今日一日の報告を始めた。

 このところは裁判だの中傷だの、彼女がどれだけおどけてみせても愚痴には変わりなかったが、今夜は、彼女の信頼する職員達の笑い話だ。彼女らは律子を訴訟した評論家についている弁護士や陪審員らに面白可笑しいあだ名をつけて、ジョークに耽っているという。そして、次の裁判では女の職員達はロレーヌ達のファッションを倣って、男の職員達は彼女らの描く女達からインスパイアを受けた格好をして、傍聴席に並ぶのだという。



 私は、律子に私も彼女の応援に行くことを約束した。そして寝間着を放り出して、律子のももを撫でていた。

 律子の指が私の乳房をくすぐって、唇が、私のそれやおとがいを啄む。


 ちゅっ……ちゅ…………


 私達の呼び水は、例のごとく温度差がある。唇だけは達者に愛とやらを語るのに、律子の愛撫は、滅法、劣情に燃える熱がない。
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