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淫徳のスゝメ
第6章 私が見た海の向こうの嘲笑のこと


「お世辞言っても何も出ないよ。可愛い人。きっと貴女の方が似合うわ」

 私はスコーンを一口齧って、ポリーの唇に押しつけた。

 薄い唇がバターの風味を受け入れると、続いてクロテッドクリームを同じように運んでいった。すると今度はスコーンの屑を連れた舌の方から、私の唇を割り開けた。


「ん……」

「おいし……」


 ちゅっ……くちゅ…………


 唯子ちゃんもゲルニカにサンドイッチをねだっていた。

 夕方まで飽きるほど私をいじっていた従姉妹の手は、ゲルニカの太ももを撫で回して、乳房をからかって、ショートパンツのゴム口に侵入してゆく。


「ぁあん、恥ずかしい……」

「嘘つき、こういうことされたいくせに……。ね、パンティだって履いてないじゃない……」


 くちゅっ、ぐちゅ…………



 私は残ったスコーンを味わいながら、ポリーにコンフィチュールを食べさせていた。

 指に掬った苺の煮物をしゃぶり尽くしても、ポリーは僅かに残った糖分を吸って、スコーンのお代わりまでねだる。



「あんっ、唯子さぁぁん、もっと……もっと……!」

「ほら、ひくひくしている。くねくねしちゃって、やっぱり触って欲しいんじゃない。淫乱な子。昼間のまづるも相当だったわ、そうだわ、二人揃ってこれからお仕置きしてあげる」


「はぁ、はぁ、まづるさん……っっ。んん!んぅぅ……」


 私と唯子ちゃんは、ともすれば互いに扇情していた。

 私がポリーをいじるほど、唯子ちゃんはゲルニカをからかう。唯子ちゃんがゲルニカをからかうほど、私のポリーにいだく衝動が輪郭を深める。



 ヴヴン…………



「ぅぅんっ!」



 私とポリーの深いキスの隙間から、にわかに小さな悲鳴がこぼれた。
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