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淫徳のスゝメ
第3章 私が最も華やいだ頃のこと


「ああぁぁぁんんっっ……私のっ……私の淫らなおまんっこっ、がぁ、あんっあん!ぶるぶるするぅぅぅ…………突きたいっ、突きたいっ!気持ちぃぃいいいいいいっっ…………」



「ふみ子。よく見るの。……お母さんくらい淫乱になれば、あんなにも気持ち良くなれるんだ」

「お母さんは、一人であんなことをして気持ち良いんですか?気持ち良くなって、何か良いことがあるんでしょうか?性交は、学校で習ったので知っています。男女が愛を確かめ合うもの、また、結婚した夫婦が子供を産むための作業でしょう。性交は、女の人の生殖器に男の人の生殖器が挿入されるものだということですが……」

「それが、この国の怖ろしい情報操作よ」

 私は二人の間に口を挟んだ。

「私も貴女くらいの歳の時分は、教育機関の卑劣な手口に嵌まっていたわ。教科書にはセックスについて、今しがた貴女の説明した通りの誤植があったし、先生達も国の脅威に抗えない。ふみ子?貴女は、まずこの作業に必要な役者を誤解しているわ。まさかとは思うけれど、思春期を迎えた子供達に見られる内面的変化の一つに挙列されていた、異性に興味をいだくようになる……という箇所まで鵜呑みにしてはいないでしょうね?私達人間は、特に貴女のように真面目に勉強しなくては、財力や人脈で進学出来ないような学生は、思考する暇もないでしょう、だから大勢の大人達、或いは同世代の人達の意見に従ってしまう傾向があるの。真偽はどうあれ、そうしていれば少なくとも偏見や排除を受けて不快な思いをすることはないし、皆が貴女を持ち上げる。そう、愚かな貴女は都合が良くて、可愛いもの。とりわけ先生がたは、恋愛感情について先に貴女達を洗脳しておいた方が教えやすいわ。そう、ふみ子が疑問に思うセックスのことよ。貴女の考える人間の役目というものから、繁殖は排除なさい。性交はもっと純粋で、自然に真摯でなくてはいけないもの。赤子という物産を計算に入れるような、浅ましい根拠で行ってはいけないものよ。私のお父様はヘテロセクシャルだけれど、そのところを私に正しく教えてくれたわ。ご覧なさい、貴女のお母様はあんなに幸福な顔をしている。犬のように腹を見せて……。貴女という人に遺伝子を分けたお父様がいなくても、精液を注入しなくても、いいえ、そういったものがなくてこそ、あれだけ幸せそうに喘げているの。ふみ子は綺麗な洋服は好き?」
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