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夜想曲~瑠璃色の奇跡~
第7章 其の一ー7・隠れ別荘~予想外の再開‥そして…~


山県邸ー



「は-…
そんなに心配するな森、たかだか利き腕に銃弾が当たっただけだ」

「いいえ!
そうはいきません閣下、例え銃弾が反れたとしても怪我を負われたのは確か、しっかり処置しませんと二次感染という恐れもあります」

撃たれたと聞きつけ、即座に屋敷に来手当てまでは良かったが、こう何日もベッドに釘付けも困る、内外問題は山とあると言うのに頑として言う事を聞かない…

「傷口に感染の兆しが無いと保証出来るまで、屋敷内で静養を…
今閣下に何かあっては国の大損失に繋がります」

「は-…
分かった分かった、だが必要書類くらい読むのは構わんだろう」

「それは‥なるべく怪我を負っておられる利き腕を動かさなければ…」

「ああ‥気を付けるとしよう」

やっと折れた森に多少の含み笑い、医者と言う観点から見れば森はかなり頑固だ…

許可も下りたしと、早速ベッド近くにある採決前の書類に目を通す事にする・・・



「閣下はご自分のお立場を分かっておられない…」

此方森鴎外‥いや森林太郎…

薬と包帯を取り替えた後、無理を言って借りた閣下の隣の部屋で腰を下ろす

「今閣下に何かあれば陸軍はどうなる事か…」

カリスマとして君臨する山県有朋陸軍大元帥閣下

それに何かあれば陸軍は混沌と化す‥閣下に継ぐ後継者問題で…

「閣下に匹敵する方は存在しない…」

確かに候補と言えば沢山居る、だが今この戦時下で閣下と同じだけの判断能力がある者が居るのか??

国より私利私欲で物を見る官僚共、戦争を知らない二世世代

叩き上げの大軍人が少なくなる中、閣下まで一線を引かれたら国が危うい

「後続育成もままならず、いやまだ時が早い…
この戦時下で金の卵が見付かれば良いのだが…」

考えても仕方が無い事、一介の軍医が口を挟める問題でも無い…

「・・・解熱鎮痛炎症剤…」

軍医は軍医の為すべき事を…

夜に向けて一通り薬を揃え、閣下の居る隣の部屋に向かう・・・・・が其処には思わぬ人物が先客として居た・・・・・
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