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贖罪の檻。
第12章  漂流する躯
  


 1歩踏み出したら堕ちていく。底なしの助けのない救いのない奈落へと。
 しかし、留まる理由もよく判らない。
 大切なモノを奪われたのに〝なにを〟頑<カタク>なに岸の水草にしがみついているんだろうか。


 《 《


「ん゛、チュ、ぁはあ・・・
(なん、だろう・・・。指、舐めてる、だけなのに・・・)」

    ホ テ
 身体の火照りが治<オサ>まるどころか増していく。


「どうしました、月良。ずいぶんとウットリした顔で私の指を舐めているようですが。」


「ん、はあぁ、チュブ・・・
(・・・恥ずかしい。やめ、たい・・・でも。)」


「少しは、素直になりますか?」


「っ、ンン・・・」


「どうなのです?」


 チュポ


「あ・・・」


 指を口から抜かれ名残惜しいと思ってしまった。


「そんなに残念そうにしなくとも素直になるのなら先に進んであげますよ。」


「あ・・・私、、、」


 悪魔が天使の笑みを向けてくる。


  
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