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でぃるど武芸帳
第3章 柳生女妖剣
東叡山 寛永寺---------






その奥まった一室






老僧は、ふと目を覚ました。






障子の蔭に、人影が動いた。




「来るころじゃと思うていた。入るがよい」




障子は、音もなく開いて、





ひとりの総髪の武士が入ってきた。






左目は、黒い眼帯に覆われている。





「老師には、ご健勝にて」





「久しいのう、十兵衛」







「本日は 是非に お聞きしたい事があり

このような時刻に参上いたしました」






「家光公のことであろう?」






「わたしは以前、家光様の剣術指南役でした」





「存じておる。そなたの父 柳生宗矩と春日局のはからいであろう」




老僧の目が、猛禽のように光った。



「十兵衛、ひとつ聞きたい」



「なんなりと」





「家光公は、そなたを抱いたか?」





十兵衛は、小娘のように、耳まで赤くなった。





「知らいでか、柳生十兵衛は、まことは女であろう」




















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