この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
でぃるど武芸帳
第3章 柳生女妖剣
東叡山 寛永寺---------
その奥まった一室
老僧は、ふと目を覚ました。
障子の蔭に、人影が動いた。
「来るころじゃと思うていた。入るがよい」
障子は、音もなく開いて、
ひとりの総髪の武士が入ってきた。
左目は、黒い眼帯に覆われている。
「老師には、ご健勝にて」
「久しいのう、十兵衛」
「本日は 是非に お聞きしたい事があり
このような時刻に参上いたしました」
「家光公のことであろう?」
「わたしは以前、家光様の剣術指南役でした」
「存じておる。そなたの父 柳生宗矩と春日局のはからいであろう」
老僧の目が、猛禽のように光った。
「十兵衛、ひとつ聞きたい」
「なんなりと」
「家光公は、そなたを抱いたか?」
十兵衛は、小娘のように、耳まで赤くなった。
「知らいでか、柳生十兵衛は、まことは女であろう」
その奥まった一室
老僧は、ふと目を覚ました。
障子の蔭に、人影が動いた。
「来るころじゃと思うていた。入るがよい」
障子は、音もなく開いて、
ひとりの総髪の武士が入ってきた。
左目は、黒い眼帯に覆われている。
「老師には、ご健勝にて」
「久しいのう、十兵衛」
「本日は 是非に お聞きしたい事があり
このような時刻に参上いたしました」
「家光公のことであろう?」
「わたしは以前、家光様の剣術指南役でした」
「存じておる。そなたの父 柳生宗矩と春日局のはからいであろう」
老僧の目が、猛禽のように光った。
「十兵衛、ひとつ聞きたい」
「なんなりと」
「家光公は、そなたを抱いたか?」
十兵衛は、小娘のように、耳まで赤くなった。
「知らいでか、柳生十兵衛は、まことは女であろう」