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果てのない海に呑まれて
第12章 喧嘩するほど–––



リリアは少し怒ったように言うレオンをじっと見つめてから目を伏せた



「貴方って……たまにすごく良いことしてるわよね」



"……たまに?"



少々引っ掛かる物言いだが、まあ良いだろう



「全て兄から受け継いだだけのことだしな」

「あ、兄って…フェリペ様っていう……」

「そうだ。ミゲルから聞いていたのか?」



リリアはこくりと頷く

それに対しレオンは



「そうか」



と言ったきりでそれ以上そのことについて触れる気はないようだった








「もうだいぶ入ったな。そろそろ出てきても良い頃だ」



二人が話している間に、ラオフェンはその足を街の少しはずれにある山の中に踏み入れていた

隣では猟犬が鼻を効かせている



「鹿狩りっていうことは……鹿を見つけて殺すの?」



リリアが当たり前のことを聞いてくる



「そうだ。この矢でな」



レオンは肩に掛けた弓矢を差して言った



「そんなことして楽しいの?」

「もちろん鹿を追って駆け回るのも楽しいものだが……それだけではない。周りをよく見てみろ」



言われて初めてリリアは周囲の景色にじっくりと目をやった


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