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果てのない海に呑まれて
第9章 理解し得ぬ想い



「あの……っ」



使用人用の食事部屋には沈黙が流れていた

食器の立てる音だけが嫌に大きく響いている



「……」



声をかけてみたはいいものの、リリアはその先どう続ければ良いか分からず困ってしまった



「……なんだ」



いつもより不機嫌な、この男に。

いや、不機嫌かどうかは分からない

なにせ接する機会が少なすぎて、まだ彼の人柄などほとんど知らないのだから。



「え、と……ミゲル、さん」

「ミゲルで良い。俺はただの側付きだ。その代わり、此方も同じ態度でいくがな」

「あ、うん……ミゲル」

「だからなんだ」



やはりどう考えても不機嫌だ

此方を見ようともしない

リリアは何を言えば良いのか分からなかったが、このまま黙っていても怖いのでとりあえず口を開いた



「私、この屋敷でどう過ごせば良いのかしら」

「知らん。そんなこと自分で考えろ」

「……」



あまりに酷い対応にさすがのリリアも少々ムッとする



「そう。じゃあ昨日お風呂に入れてくれた人たちを呼んできて。お話がしたいの」



拉致監禁されてもやはり貴族のお嬢様

生まれながらの上から目線で命令する


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