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わたしはショートケーキが嫌い
第3章 殺人犯とJK


油の香りが鼻を掠めた瞬間、昨日の光景がフラッシュバックした。

切断されたパパの陰部。
何度も刺されて噴き出したママの血。
殴られすぎて潰されて肉の塊になったパパの顔。

「ごめんなさい。いらない」

「え?お腹空いてない?」

「空いてない‥‥」


胃のムカムカした気持ち悪さに耐えながら朝食を断ると、男はフライパンを熱する火を止めて私の側に来た。
そして私の前に屈み、上目遣いで私を見た。

その仔犬のような目が昨日の彼を想像させない。
ウルウルした可愛い丸い目。

「昨日のこと思い出した?」

「‥‥‥うん」

「俺のこと怖い?」

「昨日より怖くないよ」

「じゃあ、俺のこと憎い?」

普通の人ならここで頷いたりするのかな?
あんな惨劇見せて、挙句両親を惨殺されて。
隙をついて殺してやる‥‥‥とか思うのかな?

じゃあ、ここでこう答える私はーーー

「感謝してる」

異常なんだろうか?

私の言葉を聞いた男はパァァっと明るい顔になり、私の右手を握りしめた。
それはもう大切そうに両手で握り締めてくれた。
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