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わたしはショートケーキが嫌い
第1章 インターホンを鳴らしたのは、



インターホンの画面にはさっきと同じ人が映っていた。
フードを深く被った人。

ママは顔を引きつらせ、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
そしてインターホンのボタンを押し、マイクに向かって言葉を発した。

「どちら様ですか?」

その声は震えていた。

するとインターホンの画面に映る人はバッと勢い良く顔を上げた。
飴玉のようにテラテラ光る2つの目玉がインターホンの画面越しにこちらを見ている。

『あ、どうもぉ。夜分遅くにすいません。僕長谷部さんの部下の桐谷と申します』

聞こえてきた声はマイペースそうな若い男の声で、パパの部下だと言っていた。

ママはすぐに信じるほど馬鹿じゃない。

再び生唾を飲み込んだママ。

『長谷部さん今日会社に忘れものしましてね、届けに来たんですよぉ』

そう言うくせにこの男はスーツを着ていない。

「あなた誰ですか?」

『だーかーらー、部下の桐谷ですよ』

「イタズラですか?警察呼びますよ?」

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