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横浜発 7:54
第2章 R
恐らく私より忙しいだろう矢野さん。
私は6時には上がれるから。

「じゃぁ7時でも良いかな?」
「はい」
「楽しみにしてる。電話ありがとう。じゃぁお弁当食べておいで」

クスクス笑って「じゃぁね」と言われ、電話を切った。

午後はなんとなくフワフワして過ごした。
昨日の今頃まで、話すなんて思いもしなかった人。

電車の中で見たカッコいい人は
知り合いになるなんて思いもしなかったし

まさかご飯を食べに行くことになるなんて想像もしなかった。
なのに。
今、今夜の約束をしてる。

「やっぱりあれは・・・ナンパなのかも」

そう思うと可笑しくて。
思わずほころぶ口元に手を当てた。

まさか今夜だけじゃなくて、次があるとか・・・
図々しい幻想はほんの数%あるけどそれは押し込めて。

純粋にカッコいい人とご飯を食べに行く。
その事で満足しようっと。

なんとなくお姉ちゃんと同じ会社の人と深く付き合うって気が引けるし。

そう思いながら、7時少し前に待ち合わせの改札に急いだ。
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