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茜色の空に
第1章 プロローグ
仕事から帰宅したら、誰もいない部屋に茜色の西日がさしこんで部屋を茜色に染めていく。

部屋に唯一飾ってある写真たて。

そこに写るのは、高校生の頃のわたしたち。

いつも一緒にいた仲間たちのなかに、ぎこちなく微笑む私と斜め上をみる不機嫌そうなあなたが写ってる。

黒髪ロングに細い黒ぶち眼鏡をかけたいかにも委員長な私と、校則違反の金髪をつんつんに鳥のしっぽみたいに逆立てていかにもヤンキーみたいなあなた。

真逆すぎて、笑ってしまうくらい不釣り合いなふたり。

でもね。

この写真がわたしの宝物なの。

だってあなたとの思い出の写真は、この一枚とあのふたりで歩いた茜色の帰り道の思い出しかないんだから。

いまでも時々思い出して、胸の奥が甘い痛みでいっぱいになる。

あなたは元気でいますか?

あのときみたいに、一人で泣いてませんか?

たまに見せる笑顔、不器用にわたしの頭を撫でる手のひら、ぎこちなく繋いだ指先、わたしを抱き締める逞しい胸板と腕、治らない顔の傷、無数についた身体の傷。。。全てが愛しくて涙が出てくる。

10年後も一緒にいたら楽しそうだよねって笑っていたじゃない。

なのに、突然あの日あなたはなんで私の前から霧のように消えてしまったの?

私の心は、10年前のあの日止まったまま動かないでいるのに…
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