この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第11章 裏街へ
 アルガリタの町、もっとも賑わう繁華街イゼル通り。
 道の両端にはさまざまな店が並び、町の中心部の広場まで連なっている。
 ちょうど昼時ということもあってか、あちこちの飲食店からは、食欲を誘う匂いが漂ってくる。

 往来は大勢の人で混み合い、買い物客を誘う呼び子の声が通りを賑わせていた。

「だから、やめた方がいい、っていうか髪の毛引っ張るなよ。いててて……」

 シンは情けない声をあげ、背後を振り返る。そこには唇を引き結び、真剣な目でこちらを見上げるサラの姿があった。

 サラの手が、シンの腰まである長い髪の毛を強く握ったまま離さないのだ。それどころか、握ったまま、いつまでも後をついてくるのだから困った。

 道行く人たちの視線が二人に向けられ、くすりと笑って通り過ぎていく。
 はたから見れば微笑ましい、恋人同士に見えるであろう。

 いや、違うな。
 兄妹だな。

 と、心の中で呟きシンはため息をつく。

「私の決心は堅いの。ハルに会わせてくれるまでこの手、離さないから」

 立ち止まり、シンはやれやれと力が抜けたように肩をおろす。
 この様子では本当に、どこまでもついて来かねないと思ったからだ。

 眉根を寄せ、シンは心底困ったという顔をする。
 花柳街でサラに絡んでいたごろつきどもを、ひと睨みで追い払った凄まじさは見る影もなく、鋭利な刃のごとき気配もすっかり抜け落ちてしまった。

 まるで別人のようだ。
 とても同じ人物とは思えない。

「もう、帰れ。家の人が心配してるぞ。送ってやるから」

「帰らないって言ったでしょう」

 振り切ろうと思えばいつでも振り切れるのだが、何となく放っておけない気がした。

 見た感じ、そこそこいいところのお嬢さんという雰囲気だ。
 そんなお嬢さんが会ったばかりの、どこの誰とも知れない男にいつまでも付きまとうわけがない、そのうちあきらめて帰ると思っていたのだが、これが予想に反してなかなか剛胆な少女であった。

 いや、警戒心がなさすぎる。
/835ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ