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令嬢は元暗殺者に恋をする
第9章 サラの決意
流れるが如き達筆な文字が連なるテオからの返信を読み終えたサラは、手紙を蠟燭の火にあて、今は火のくべられていない暖炉へと放った。
すっかり手紙が燃えつきるのを見届け、サラは粉薬の入った油紙で包まれた小さなそれを手の中に握りしめる。
確かに、こんな薬を作ったことが、誰かに知られでもしたらテオは何かしらの処分を受ける羽目になる。
テオはあえて薬と手紙に記したが、もはやこれは薬の域を越えていることは間違いない。
もし、このことが発覚すればテオは最悪死罪となろう。
二十年前、ルカシス殿下が毒物で暗殺されて以来、この国では毒物を取り扱うことを厳しく禁じられている。
今さらながらにサラは、自分の我がままにつきあわせ、テオに迷惑をかけてしまったことを後悔する。
もしも、この手紙が自分のところへ届けられる前に、誰かの手によって改められでもしていたら……。
サラは身を震わせた。
おそらくテオ自身、覚悟を決め自分の信念を曲げてまでも、決断したことであろう。
サラの真剣な思いを汲み取って。
手の中の小さな包みをぎゅっと握りしめる。
ごめんなさい、テオ。
そして、ありがとう。
私、この機会を逃したりはしない。
この屋敷を抜け出し、絶対にハルを探してみせる。
サラは薬の包みを丁寧に開き、ためらうことなく粉を口に含み水で流し込む。
念には念をで、薬の袋も燃やした。
これで証拠は残らない。
手紙には原因不明の発熱が起きると書いてあったが、その症状がいつあらわれるのかまでは書かれてはいなかった。
そうとう苦しいって書いてあったけど……。
ううん、平気。
ハルに会うためなら私、何だってする。
込み上げる不安を振り払い、サラはベッドにもぐり込んだ。
胸の上で両手を組み、堅く目を閉じる。
怖くなんかない。
ハルに会うためならば。
怖くなんかないわ。
すっかり手紙が燃えつきるのを見届け、サラは粉薬の入った油紙で包まれた小さなそれを手の中に握りしめる。
確かに、こんな薬を作ったことが、誰かに知られでもしたらテオは何かしらの処分を受ける羽目になる。
テオはあえて薬と手紙に記したが、もはやこれは薬の域を越えていることは間違いない。
もし、このことが発覚すればテオは最悪死罪となろう。
二十年前、ルカシス殿下が毒物で暗殺されて以来、この国では毒物を取り扱うことを厳しく禁じられている。
今さらながらにサラは、自分の我がままにつきあわせ、テオに迷惑をかけてしまったことを後悔する。
もしも、この手紙が自分のところへ届けられる前に、誰かの手によって改められでもしていたら……。
サラは身を震わせた。
おそらくテオ自身、覚悟を決め自分の信念を曲げてまでも、決断したことであろう。
サラの真剣な思いを汲み取って。
手の中の小さな包みをぎゅっと握りしめる。
ごめんなさい、テオ。
そして、ありがとう。
私、この機会を逃したりはしない。
この屋敷を抜け出し、絶対にハルを探してみせる。
サラは薬の包みを丁寧に開き、ためらうことなく粉を口に含み水で流し込む。
念には念をで、薬の袋も燃やした。
これで証拠は残らない。
手紙には原因不明の発熱が起きると書いてあったが、その症状がいつあらわれるのかまでは書かれてはいなかった。
そうとう苦しいって書いてあったけど……。
ううん、平気。
ハルに会うためなら私、何だってする。
込み上げる不安を振り払い、サラはベッドにもぐり込んだ。
胸の上で両手を組み、堅く目を閉じる。
怖くなんかない。
ハルに会うためならば。
怖くなんかないわ。

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