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真珠浪漫物語
第1章 プロローグ 〜序曲〜
物語の始まりは、大正初期の初夏のことである。
ここは東京麻布の北白川伯爵家…
イギリス、ビクトリア朝建築の広大な屋敷に広々とした英国式庭園を模した美しい庭を所有する有数の名門華族である。

数々の名画が飾られるダイニングルームで、下僕に傅かれながら朝食を取るのは伯爵家の令嬢、一人娘の北白川梨央である。
…抜けるように白くきめ細やかな練絹のような素肌、切れ長の涼しげな瞳、形の良い鼻筋、珊瑚のように可憐な色の唇。
高貴な顔立ちの類稀な美少女であるが、どこか儚げで寂しげな雰囲気を漂わせている。
年は18歳。
身体が弱いため、学校には通わず、屋敷の中で大切に育てられ、傅かれて成長している。
梨央は白いレースのブラウスに薔薇色の透かし模様が入ったロングスカート姿。
長く美しい黒髪を綺麗に編み込み、今朝摘んだばかりの白薔薇を飾っている。

いつものように、静かに朝食を済ませ、珈琲を口に運んでいる梨央の元に、執事の月城が無駄のない動きでやってくる。
端正な美貌を眼鏡で隠すかのようにしている隙のない冷静沈着な執事である。

「お嬢様、ロンドンの旦那様よりお手紙が届いております」

…北白川伯爵はイギリス大使として、数年前よりロンドンに赴任中である。
母親は梨央がまだ幼少期に亡くなり、それゆえ北白川伯爵がロンドンに赴任してからは、梨央1人でこの広い屋敷に暮らしている。

銀の盆に載せた外国郵便を恭しく差し出す月城。
「お父様から⁈まあ、お久しぶりだわ」
梨央の瞳が嬉しげに輝く。
梨央は綺麗な手つきでペーパーナイフを操り手紙の封を開ける。
そして笑顔のまま手紙を読み始める。
「…!」
手紙を読み進める梨央の表情が、不意に驚きに変わる。
月城は思わず気遣わしげに、声をかけた。
「…お嬢様、どうなさいました?」
「…大変なことが分かったわ」
「…?」
梨央の綺麗な頬が紅潮している。
手紙を月城に渡しながら…
「…私にお姉様がいらっしゃるのですって、月城」
「…⁈」
「…私にお姉様が…」
遠くを見つめる梨央。
梨央の瞳に新たな光が輝き出した。
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