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真珠浪漫物語
第4章 秘密
翌日、朝食を終えると梨央はメイドのすみれをベルを鳴らし呼ぶ。
黒い制服にエプロンをつけたすみれは膝を折ってお辞儀をする。
「およびでございますか?お嬢様」
梨央は優しく微笑む。
「これからお出かけしたいの。着替えを手伝ってちょうだい」
「かしこまりました。…あの…お嬢様、どちらにお出かけですか?」
「浅草よ。浅草のカフェ」
ドアがノックされる。
「はい」
「月城です。叶男爵夫人からお茶会の招待状が届きました。…お嬢様、どちらにお出かけですか?」
出かける支度をしているらしい梨央に眉を顰める月城。
「浅草よ。お姉様にお会いしに行くの」
「お嬢様…もう綾香様にお会いになるのはお辞め下さい」
慇懃だが確固たる口調の月城に、梨央は怪訝そうな顔をする。
「なぜ?」
「…あのお方は確かに旦那様のお子様かもしれません。しかし失礼ながらお嬢様に良い影響を与える方とは言いかねます。また、このお屋敷に引きとられたところで、今までの生活と違いに綾香様自身が戸惑われることでしょう。ご一緒に暮らされることがお二人にとってのお幸せとは到底思えません」
「そんなことないわ!お姉様はまだお心の整理がついていないだけよ。私、もっともっとお姉様とお話ししてみたいの。もっともっとお姉様を知りたいの」
懇願する梨央に心を鬼にして、首を振る月城。
「お嬢様は世間知らずすぎます。…綾香様とお嬢様とでは住む世界が違いすぎる。恐れながらもうあの店にいらっしゃることは禁止させていただきます。」
はっとして目を見開き、月城に取りすがる梨央。
「どうしてそんなことを⁈私はお父様にお姉様を引き取るように託されたのよ⁈」
「その件は私が旦那様に報告書を書きます。…綾香様の今のご様子をお知らせしたら旦那様もお考えを変えられることでしょう」
「そんな!ひどいわ、月城。…今のお姉様のどこが悪いの⁈お美しくてお歌が上手くて…私…あんなお姉様がいるなんて夢のようで嬉しくて仕方がないのに…」
月城は梨央の必死の言葉に胸を痛めながらも冷淡にすみれに命じる。
「すみれ、お嬢様のお出かけは取りやめだ。本日はお部屋で静かに過ごされる。…お部屋からお出にならぬようお側についているように」
言い捨てると廊下に出る月城。
「月城!ひどいわ!」
梨央の悲し気な声を聞きながら
「お許し下さい。…全てお嬢様の為なのです」
苦し気に独白する月城だった。
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