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第12章 アズの過去

アズの心が乱れているのを感じてしまって、私はアズの首に腕を回して、ｷﾞｭｯとアズを抱き締めた。

言葉はいらない。

お互いの温もりを感じるだけで、安心する。

アズも同じように私の体をｷﾞｭｯと抱き締めた。


｢サラ…ごめん。取り乱しちゃって…。困らせたよね？｣

｢ううん。アズがそう思うのは、普通な事だもん。私こそ、ずっと一緒にいてあげられなくて、ごめんね。｣

｢サラ…抱いていい？サラを感じたい。｣


耳に響くアズの私を求める甘い囁きが、私の体を熱くしていく。


｢うん…抱いて。｣


そう言った私の体をアズがお姫様抱っこして、寝室まで運ぶ。

ﾓﾉﾄｰﾝでまとまったｼｯｸな部屋。

大きなﾍﾞｯﾄﾞの上に、おろされた私の体が弾んだ。

アズと同じいい香りがするｼｰﾂの上。

横に来て、私の髪を優しく撫でるアズの瞳はもう、さっきみたいな悲しさはなくて、優しく揺れていた。

良かった…。

いつものアズだ。

そんな優しい瞳のアズが、いつも以上に愛しくて、私はアズを引き寄せて自分から唇を重ねた。