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わけありっ、SS集!
第9章 バイオレンスな彼女

 ――俺の彼女はいわゆるツンデレ属性だ。
 見た目ものすごく可愛いんだけど、いや、ホント、世界の三大美女と並んでもまったく引けを取らないくらいに可愛いんだけど、これがなかなか素直じゃない。
 いつもツンツンしていてデレがないのだ。
 その上かなりバイオレンスだから、付き合うのは命懸け。ええ命懸けですとも。
 そんな彼女――浅野(あさの)ひかると俺――梅倉涼夜(うめくらりょうや)が同棲生活を始めてもうすぐ半年が過ぎようとしていた時、事件は起きた。

「アンタさ、あたしのことナメてんの? いっぺん地獄、堕ちてみる?」

 地を這うような低い、けれども静かな彼女の声が俺の鼓膜を震わせる。
 目の前で腕組みをして胡座をかいている彼女の少女のように可愛い顔は、先ほどから無表情を保ち続けていた。
 一方俺はもうかれこれ一時間くらい正座のまま。そろそろ足の指が限界を迎えようとしている。
 血が、止まる!

「約束、まさか忘れたわけじゃないでしょうね?」

 普通の子よりもやや大きい二重の瞳が、苛立たしげに細まる。
 俺はふるふると首を振り、蚊の鳴くような声で覚えてますと答えるのがやっとだった。
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