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先生とわたし。
第1章 触れた指先

私、誰にも秘密で先生に恋しています。


先生の名前は、緒方 建志(おがた けんじ)。
25歳の採用2年目の国語科教師。


みんなからは親しみを込めた兄貴みたいな感じで、「おがちゃん」って呼ばれてるの。


大好きだった2つ上の先輩が、東京の大学に進学して別れてからずっと空っぽだった私の心に、今は先生がいるの。


毎日何してもつまんなくて、やりたいことも見つからなくて…先輩のいない毎日はただだた哀しくて…


そんな時に、廊下で私が落としたハンカチを拾ってくれたのが、古文を教える新任の緒方先生だったの。


先生は覚えてないだろうけど…


先生の指先はとてもしなやかで、わずかに触れたその瞬間、白黒だった私の世界に色がついたの。


止まっていた時間が動き出し、私のまわりがキラキラしたのがわかったの。



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