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明治鬼恋慕
第2章 落方村


「──…」

焔来は足を止め、無言で振り返った。


「睨み付けても怖くねぇし。女みたいな顔してよ」

「何か言い返してみろよ! 親なしの焔来」


焔来と同世代──十一、二歳の少年達は、睨んでくる焔来を指差して笑う。


しかしその直後には、追い付いてきた千代が彼の代わりに大声で怒鳴っていた。


「焔来を馬鹿にしないでよ!」

「…げっ! 千代さま…っ」

「あんた達より、焔来の方がずーっと綺麗で優しいわ。それに喧嘩も強いしね」


それはそれは…少年達が怯むほどの剣幕で。


「悔しいんなら、今度の七夕祭の手合わせで誰でもいいから焔来に勝ってみなさいよ!」

「う…!!」


これを言われたら…彼らは何も言い返せない。

千代はふんとそっぽを向くと、焔来の手を引いてその場から離れた。


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