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明治鬼恋慕
第16章 吐露


「僕がここに戻った理由…わかる?」

「理由…!?」


リュウに問われても、その答えはわからない。

自分自身がこの山小屋にたどり着いた意味、それすらも焔来はわかっていないのだから。


「…知ら…ねぇ」

「焔来を探して来たんだ」

「……!」


だがリュウのほうは明確な理由を持っていた。

彼は彼の意思で、こうして今…ここにいる。


「生きる理由も死ぬ理由も、失った…っ…のに、まだ生きてる僕は空っぽだろう?…でもひとつだけ」


ひとつだけ、リュウにも残された感情があった。

焔来に拒絶されたことで確かに生きる理由は失っていた。けれどたったひとつ、残っていたもの…。


「理由は無くなったけれど、執着はあるんだ」


焔来への執着。


「ねぇ…わかる? 僕は焔来が欲しい。君を手に入れたい……!! この、願いは」

「……!?」

「──…たとえ君に拒絶された今でも、叶う事だ」


リュウの瞳は切実だった。

焔来を愛し、ただ守っていた頃とは明らかに違う想い。

自分の欲に従った時──リュウの全ては焔来を求めたのだ。


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