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明治鬼恋慕
第16章 吐露


「俺は…っ、今のリュウが好きだ」

「……!?」

「何があっても『大丈夫』だって…!! 平気な顔で笑ってるお前より──今のほうが、……今のお前のほうが……ずっと……いい……!!」

「……ハ、なに 言ってるの…!? そんなっ…わけ」

「本当なんだよ!」

「……っ」


嘘ではなかった。

リュウとのことを " 仲間 " という言葉で誤魔化してきた今までのほうが、いかに愚かであったかを痛感できる。

出会った時から仲間だった──?

そんなのは、的外れもいいところで

そんな幻想に頼りきっていた報いが、二人をここまで苦しめたのだ。



「だから…もっと……!! 吐き出して…!」


「……っ」


「俺は夜叉だから──ッ …お前の気持ち、わかってやれねぇかも しれないけど」


「…ほむ…ら」


「俺の身体っ…めちゃくちゃにしてもいい! だから全部……教えろよ……!!」



存分にぶつけてくれればいいと思った。

そうすれば、一度破った約束を、取り戻せるかもしれない。

針を呑むのは御免だし、指を切ることもできないけれど…せめて、拳骨で殴るかのように

荒々しく、力一杯

ぶつけてくれさえすれば、きっと二人は歩き出せる。

そんなふうに思いたかったから──。


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