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明治鬼恋慕
第16章 吐露



どうか、邪魔をしないでくれまいか。


身と心を重ね…こうして奥まで結ばれた二人を、引き剥がさないでくれまいか。


どうか、このまま、雪と共に溶けて無くなるまで。




「‥…っ‥お前…だけ だ」





───




今の焔来に外界の音は届いていない。

息を乱して背を仰け反らす彼の、蕩けた頭の片隅には不思議なことに、ドドンドドンと太鼓の音が近付いていた。

落方村で見た芝居屋の太鼓だろうか。

太鼓に合わせ

" 今日( コンニチ )は此れ切り "

という幕引きと思われる合図も聞こえた。


幕引き──


最初で最後の彼の舞台。

観客のいないその舞台だが、相手役は最高だった。

だから、たとえ舞台の演目が悲劇だとしても惜しくはない。


焔来はリュウと舌を絡めながら、口の端を上げ、色だるさを含む表情で微笑んでいた───。













───…






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