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明治鬼恋慕
第5章 出立


ハァ…っ


「…好きだよ…──焔来」


やっと唇を解放したリュウが耳許で囁く。


そんなの…何度も何度も言われてきたんだ。

今になって改めて言われなくてもわかってる。

そもそも口に出さなくても、普段のリュウの言動から嫌でも気付く。


「…焔来は…っ…千代様が好きなのかい?」


リュウの片手が下に伸びて

焔来の着物の合わせを割った。


「あッ…そっちはっ!」

「焔来は僕よりも人間が好きなの?」

「やめっ…触るなっ」


まだ起ちきってはいない性器をぎゅっと握りしめられ、不意討ちのそれに焔来は短い悲鳴をあげた。

反射的に起き上がろうとした上半身を、またもやリュウに押し返される。


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