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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第10章 禁断 編 1-1
「前に痛めたところの調子はどうだ?少しでもハリや違和感があったら無理は出来ないぞ」
「はい、大丈夫です。痛みはありませんから」
笑顔で答えたあやなだったが、右脚の太腿には直前までサポーターが巻かれていた跡がある。普段は気にして付けていることが分かる。

「痛みは無くても無理はしない方が良い時もある。ちょっと見せて見ろ」
「えっ?は、はい・・・」

選手はどうしても試合に出たいため、多少の痛みは隠して練習を続けてしまう。
まるで、悪戯がばれてしまう前のドキドキしている子供の様な表情をしたあやなは、大人しくマットの上にうつ伏せになった。

「ちょっと確認するぞ」

そう言って前川は右と左の太腿の裏を同時に触り始めた。
張りや柔軟度、温まり方の左右の違いをじっくりと確認するために、肌にピッタリと手の平と指を付ける。
膝裏から太腿の付け根まで何度も軽く擦り、揉みながら手を動かしていく。

あやなは、触られた直後にビクッと下半身を緊張させると、触られている間も緩めることなく力を入れたままにしていた。
触っている太腿の筋肉は硬く、体操選手らしく小ぶりでキュンとしたお尻の膨らみも、固まって中央にギュッと集まっている。

「力を抜くんだ。緊張させていたら確認できないぞ」
「はい・・・」

あやなが返事をして息を大きく吐くと、太腿に柔らかさが戻ってきた。
お尻の膨らみからも硬さがとれたようだ。
前川は何度も太腿の裏を擦り、指先で揉みながら尋ねた。

「痛めたのは右側だったな。どのへんだ?」
「・・・はい右です・・・もう少し上です」
「この辺か?」

指先を立てて軽く揉みながら太腿の裏、お尻のすぐ下の一点を左右同時に触って確認する。
張りや硬さに左右の大きな違いは見られない。

「少し気になるが・・・別に問題はなさそうだな。練習しても大丈夫だろう」

前川の言葉に安心した様子で、あやなはゆっくりと立ち上がった。
「ありがとうございました」
照れくさそうに笑いながら、うっすらと掻いた額の汗をタオルで拭っている。
頬が赤く染まっていた。

ケガをした場所の状態は悪くなさそうだった。一先ず安心した前川だったが、それまで意識していなかったあやなの様子が気になり始めていた。

普段の練習から女子のレオタード姿は見慣れているはずが、妙に引き付けられるのを感じている。

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