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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第13章 地下アイドルの秘密 編 1-1
私の胸に自分の身体を微妙に揺すって触れてきます。
それでも私は笑顔のままチェキの撮影を終えると、お客さんの手を両手で握ったまま挨拶をしました。
「また見に来てね。応援してもらえるようにがんばるから・・・」
そう言って最後に握っていた手に力を入れてから手を離します。
ハッとした表情を見せてブースから出ていくのを見て、嬉しくなりました。
いつかテレビで見た現役のアイドルも握手会でやっている、離す直前にグッと手を握る事をまねてやってみたのでした。
効果はあったようです。スッキリではなく名残惜しさを感じさせるのに良かったようです。
終止タメ口で話したのも、親近感を持ってほしかったからでした。

それでも、次の人が入って来る前にそっと溜息がでてしまいます。
ライブ中に、見られるだけで自分で処理したくなる程興奮してしまっていた身体が、短い時間でも男の人に触れてまた興奮し始めています。
剥がし役の人がすぐそばにいるので気付かれない様にして、少しでも静めようとしても効果はありませんでした。
このまま何人もの男の人達と触れ合っていたら、きっと・・・
そう思うと、まるで触れられているように、背中からうなじにゾクゾクとした感触が這っていきます。
それはどちらともつかない感情を生んでいきました。

やさしく触れられて気持ち良くなりたい・・・
好きでもない人に触れられたくない・・・

そんな気持が混ざった不思議な気持ちです。
次の人が入ってきました。
「こんにちは!」
明るく爽やかな挨拶で入ってきた人を見て、すぐに分かりました。
3回のライブで、いつも最前列で私の立ち位置の前にいて応援と視線をずっと送ってくれていた人です。
目立つ場所にいたから、だけでなく好みのタイプだったので覚えていたのです。
でも、特別親しげな態度を取る事はマネージャーからも禁止されていました。
覚えていない振りで挨拶をします。

「こんにちは!私を選んでくれてありがとう!」
そう言って両手で右手を包むように握ると、すかさずその人も両手で握ってきました。
ドキッとして次のセリフが飛んでしまい、口ごもってしまった私に優しい笑顔で話し掛けてきます。
「ライブ、お疲れ様でした。凄い汗だね」
「えっ?は、はい。ありがとう」
お疲れ様でした、その一言に瞳がウルッとしてしまいそうで、慌てて大げさな笑顔を作りました。

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