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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第13章 地下アイドルの秘密 編 1-1
次のライブハウスでの活動とコンテストで歌う曲の練習を同時に行っている私達は、忙しくても充実した日々を送っていた。
広くて設備の整っているライブハウスは、収容人数が前と比べて1.5倍ほど広い所だった。
そこでのライブは初めの2回は100人は超えても満員にすることができなかったけれど、3回目で何とか達成すると、以降は前売券が全て売り切れてしまう様になった。

その日もライブが終わった後、いつもの反省会をおこなった。
練習で忙しくて、あまり会えなくなっていたマネージャーとも話が出来るその時は、私の楽しみの一つになっていた。
同年代の男の子たちより年上の人に惹かれてしまう私は、彫の深い目鼻立ちや口髭、魅力的な低い声と落ち着いた物腰のマネージャーに、好意以上の気持を抱いていた。
名前を呼ばれ、意見を求められる時の見つめてくる瞳にドキドキさせられ、時折つく軽い溜息にさえキュンとしてしまう。
そんな幸せな時間が終了し、挨拶をして皆でまとまって帰ろうとしていた時だった。
マネージャーに呼び止められて、私だけその場に残ることになった。

楽屋の中で他にも人がいるとはいえ久しぶりに2人きりになって、私の胸はライブ前の緊張している時よりも、重く早く鳴り始めた。
「コンテストの曲、上達しているみたいだな。スタッフからいろいろ聞いているぞ」
「えっ、あ、ありがとうございます」
嬉しそうな口調で優しい目をしながら見つめられて、私は返事をしながら顔が赤くなっていくのが分かった。熱い。
「コンテストでも決勝には残れるだろうって言われたよ」
「ありがとうございます、頑張ります・・・みんなが聞いたらきっと喜んで・・・」
「夏妃に頑張って欲しいことがある」
「えっ・・・」

声を潜めて、しかしはっきりと告げられた。
そこには優しい目は無く、射る様な鋭い眼つきで見つめてくるマネージャーがいた。
一方通行の命令に、私はその時が来たんだと悟った。
さっきまで聞こえていた筈のガヤガヤとした雑音は聞こえなくなった。ただ、マネージャーの言葉だけが頭に入ってくる。

「送っておいたデモを見た審査委員長がファータフィオーレに興味をもってな。夏妃に面接をしてみたいそうだ。場所と日時はここに書いてある。
確認したら破って捨てること。・・・夏妃?・・・」

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