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貸し出し遊戯
第2章 いきさつ サイド悠介

見上げると、スポーツブランドの濃紺のポロシャツに白いカプリパンツの男性が、そこにいた。

顔は茶の薄いサングラスを掛けていたが、レンズの奥の瞳は優しく、蘭の心を軽くした。


『…はぃ…』


『緊張しますよね、大丈夫ですよ。乱暴なことはしませんから、ご主人に叱られてしまいますから…ハハハ』


落ち着いた話し方で、違和感なく耳がうなづくその声に、蘭は安堵し、はにかんだ。


『こわかったの……安心いたしました…ふふふ…ドキドキするわ…』


蘭の恥ずかしそうな笑顔に、その男もホッとしたようであった。


『部屋に行きますか…?』


『…はぃ…あのぉ……なんてお呼びすればいいですか…?』


『名前はご主人から聞かされていますか?』


『はい、佐伯(サエキ)様とだけ…』


『ご主人が下の名前は聞かせたくなかったのかもしれませんね。なんと呼んだか聞かれたら、呼んでいないと答えておいて下さい。私は、悠介(ユウスケ)と言います。』


『はい、悠介様とお呼びしますね…なんだか可笑しい…ふふふ…主人に言ったら妬きますかね…ふふふ』


『可愛らしい方でよかった。悠介さんでも、悠介でも嬉しいですよ。好きに呼んで下さい。蘭さんがリラックス出来る方で…その方が楽しい時間が過ごせる。』


『はい、では、ん~悠介さん…ん~悠さん♪ふふ』


『笑ってくれてよかった。行きましょうか…』







蘭は黙って頷き、悠介の握った手に従った…



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