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小鳥遊医局長の憂鬱
第2章 予兆
「I'm sorry.」

冬が眉をしかめながら今泉に詫びた。

「That's OK.」

今泉が突っ伏したままで笑うと、再びテーブルの下で冬は今泉を蹴った。

「…Ow.」
(いた…い。)

今泉が小さな声をあげた。

…ナルシス…ちょっと黙れ。

冬は、ここでちゃんと小鳥遊に約束をさせなければ、はぐらかされてしまう気がした。

「僕が、ありませんと言ったらこの不毛な会話をあなたは終わらせてくれますか?」

小鳥遊は思い切り不機嫌な顔をして冬をじっと見据えた。

…あ…とうとう切れたな。でもこれはまだ序の口なんだよ変態君。

冬はそんな小鳥遊にも動じず答えた。

「ええ。無ければ良いんです。今日一日それを忘れないで過ごしてください。」

冬は意地悪そうに言い席を立つと、テーブルに頭を付けていた今泉がまた笑った。

“I'll punish you tonight…AGAIN!”
(今夜も”また”お仕置きよ。)

冬は夏に聞こえないように今泉の耳元で囁いた。

“Oh no, not again!”
(えーっ。また?やだ勘弁してください。)

「全く…。」

小鳥遊はふたりの様子を見ながらつぶやいた。朝から、冬の禅問答に付き合わされて苛立ちを感じたし、笑っている今泉にも腹立たしさを感じた。

「さあさあ早く食べないと先生方も遅れちゃいますよ。」

険悪な朝のムードを断ち切るかのように、エプロン姿の春は、夏を抱き上げ、椅子から下しながら大人達に声を掛けた。

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