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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第1章 「鬼頭村の美女達」



「うぅ~ん…んがぁああああ~あ…」


彼は大きな欠伸をひとつすると、トレードマークでもあるボサボサの癖毛を引っ搔き回しながらけだるそうに起き上がった…


「うぅ…腹減った…」




やれやれ…

忙しない東京での生活では感じる事の出来ない、こういった非日常的な情景を楽しむつもりなど毛頭ないようだ


O県とH県の県境に位置する、鬼頭(きとう)村という山間の集落

本作品の主人公・珍田一耕助(ちんだいちこうすけ)は夏の休暇を利用して訪れているのである



え…?

何処かで聞いたことのある名前だと申されますか?

そうおっしゃった貴方…

なかなか鋭いではありませんか

勿論、決して勘違いや気のせいなどではございません


元ネタをご存知の読者様はその辺りも踏まえて読んで頂けると宜しいかと思います…。






珍田一が滞在している旅館は「あわび山荘」という明治末期創業の鬼頭村唯一の宿泊施設である

珍田一が解決した過去の事件で親しくなった、磯毛(いそげ)警部の紹介で昨夜から「あわび山荘」に宿泊していたのだ

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