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第4章 天使のなみだ

足早に部屋を出て、綾香をさがす。
レストランのフロア、エントランス…
どこにもいない。
先ほどのウェイターを見かけ、尋ねる。
「…あの、綾香さんはどちらに？」
ウェイターは少し驚いたような顔をして答える。
「今しがた、店を出ました。…急に体調が悪くなったと申しまして…あ！お、お客様⁈」
ウェイターの答えをみなまで聞かずに、店を出る。
湯島から浅草へ…。
走りながら、通る女性の顔を見て、綾香はいないか探す。

息を切らせて、走る。
…綾香さん、ごめん！
どんなに傷ついただろう…。
僕のせいだ！



…夜の浅草は賑やかに灯りがともり、早くも酔客が騒ぎながら通りを行き交う。
当麻は人々にぶつかり、詫びながら走り続ける。

浅草の繁華街にたどり着き、はたと気づく。
…僕は綾香さんの家も知らない…。

まだ何も知らないのだ…。彼女のことを…。
…何も知らないのに、彼女を失う訳にはいかない！

当麻は、カフェを目指して走り始める。