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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 月光庭園
月城が北白川伯爵家に来て一か月ほど経った。
下僕の仕事に一通り慣れた月城は、伯爵の身の回りの世話…従者の仕事を覚えることになった。
「…旦那様がロンドンに行かれたら、従者の仕事を覚える機会がなくなるからね」
伯爵付きの従者、狭霧は艶やかな唇に笑みを浮かべ月城に笑いかける。
…狭霧さんはなんだかよく分からないけれど、やたらに色っぽい人だな…。
優しくて朗らかで滅多にいない美貌の持ち主だが、近くに来られるとドキドキしてしまうので、少しだけ苦手な月城だ。
狭霧に案内されて、伯爵の居間の隣の支度部屋に入る。
伯爵のワードローブがきちんと季節ごとに収納されている。
お洒落な伯爵が欧州で揃えたというワードローブは実に種類がたくさんあり、まるで高級洋品店のように整然と美しく飾られている。
「…わあ…すごい…」
月城は思わず声を上げる。
狭霧は伯爵の上質な燕尾服を大切そうに触れながら、
「旦那様がお召しになる洋服の管理は従者にとって大変重要な業務だ。お茶会や夜会の予定が入っていたら、前日からその日にお召しになるお洋服をきちんと揃えておく。アイロンはかけてあるが、それでも皺がないか、しみはないか…細かくチェックしておくこと。
燕尾服やモーニング、ディナージャケット、スーツなどはお出ましになる場所…宮中や役所、個人の邸宅、またお茶会や夜会や私的なお出かけなど、その場面や内容によりきちんと非礼がないように、また旦那様が美しく高貴に映えるように選ばなくてはならない。
シャツやネクタイ、カフスなどは旦那様自らお選びになるが、しかし三つくらいの候補に絞りお見せすること。…従者のセンスが問われる場面だね」
狭霧は悪戯っぽく笑いかけ、月城にウィンクする。
「…す、凄いですね、狭霧さんは…」
…自分にはとても出来ない…。
月城は肩を落とす。
「経験を積めば出来るようになるさ。…常に旦那様が輝くことを一番に念頭に入れて…ね」
狭霧が優しく諭す。
「…狭霧さんは…旦那様のことをよくご存知なのですね…」
西洋の美男子めいた優雅な顔に妖艶な微笑が浮かんだ。
そして、まるでキスするような距離まで月城に接近する。
「…そうだよ。…旦那様は僕の全てだからね…」
「…⁈」
「君における梨央様と同じさ」
「…狭霧さん…」
「そういえば分かりやすいだろう?」
狭霧はふっと笑い、身体を離した。





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