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いとおしい青
第15章 ブリキの缶
「うん、よっちゃんと付き合う前に知った。
義母さんが私に謝ってきたの。
私は恨んでないわ。
私の両親は離婚せず、仲良くやってるもの。
私の母は許せないと思うけど。

でも私はよっちゃんの事好きだったから
諦められなかった。

他の誰かによっちゃんが取られる方が
よっぽど嫌だったわ。」

「俺と結婚したことで後悔してない?」

「してないよ。
私たちが結婚したことで父さんや義母さんには
一生反省するんだろうね。」

「そうか。一生反省…か。そんな考え方もあるなぁ。」


「母さんも言ってたよ。
だから義之も簡単に離婚できないからねっ😁」

「ふっ…さすが親子。
親が離婚してたら確かにモーテルも無いだろうな。」

「そうだね。
義母も義父さんと喧嘩を何度もしながら
頑張ってたって言ってた。」

「お袋が?」

「そう。…」

由貴は義之が幼い頃から持っていた青い手袋を出した。

「ずっと待ってた…よっちゃんのこの言葉がなければ
私達 繋がらなかったかもしれないね。」
由貴は窓の外を眺める。

「そうだな。互いに終わってたと感じたし。」
義之も微笑む。

「私はよっちゃんが黙って引っ越ししたと思ってた。
よっちゃんが引っ越す日、
私に会いに来てくれたよね?

母さんが
よっちゃんと私を遠ざける為に
酷い事言ってごめんね。
私は嫌いになった訳じゃないよ。」

うつむく義之。
「本当に?」

「本当。」
由貴は真っ直ぐに義之を見つめる。

力が抜けたように座る義之。

「初めて拒絶されたと思った。
俺は引きずってたよ。
いろんな女性と付き合ったけど
頭から由貴が離れなかった。
由貴に再会したら冷たくして仕返しするつもりでいた。
俺って本当に子どもだな。」

「子どもだね~、辛かったのは
私の居る
エレベーターの中で
女の人に手だしてた時よねー。」
由貴がちらっと義之を覗きこむ

「あれは由貴が俺のこと無視するから
嫉妬させたかったの。」
義之はふてくされてる。

「あーよかった。
由貴が望むなら俺も、」

「俺も?」

「愛してるよ!」

「急に内容変えた?」
由貴は疑う。

「気のせいだよ。」
義之は由貴を抱き締めた。

今更 離婚しようと思ってたとか言えねぇー。
義之はお茶を取りに冷蔵庫へ向かった。

ニッコリ笑う由貴だった。




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