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新月の闇 満月の光
第6章 御劔家と如月家 (みつるぎけときさらぎけ)

「御明察。犯人は僕だ 」




そう言って現れたのは義兄。


身内の俺が言うのも何だが、実年齢よりも15は若く見えて、さぞかし昔は女泣かせだっただろうイケメンだ。


そう、思われる容姿のこの人が、俺の養父。


姉と並ぶと正に美男美女。


俺は、深く溜め息を付いた。




「お前を『mahiro』にはしたく無いんでね。だからあえて合坂くんにリークしたんだ。大事な一人息子の人生を滅茶苦茶にした女の妹だよ。そんな子の為に、真紘が踏み台になるの? 認めないよ。僕の考え、間違っているかい? 」




確かに、間違いでは無い。


10人居れば、10人の考えが有る。


義兄の言い分も、俺を慮(おもんばか)っての事だ。


でも、俺にも思う所が有るんだ。


義兄(にい) さんの思い通りに成るつもりは無い。




「それでも、俺は結芽を手放さないし、このまま指を咥えて見て無い。義兄さんの思惑、外してやるから」


「良いけどさぁ、真紘、お前はあの女に依存し過ぎてるって、解ってる? 」




ふっ…………。


俺は自嘲気味に笑う。


そんな事、言われなくても解ってる。




「その、『Yume』だっけ、義父(とお)さんでさえ聞き知っている名前だ。お前の存在が彼女の足枷に成ってるんじゃ無いのか? マネージャーなんてさっさと別の者に任せて、お前は御劔(みつるぎ)に帰って来い」




有無を言わせない、上から目線の言葉。


俺は、反発する眼でギロリと睨んだ。




「まさか、まだいってんの? オヤジ。俺は継がないからな。それに、俺は結芽しか愛せない…………彼女しか、いらない」




俺は、顔を近付けて、義兄の顔を覗き込む。


さぞかし、義兄の目には淀んだ俺の眼差しが見えただろう。


息を飲む声が、微かに聞こえた。

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